Speaker A
皆さんこんにちは。医学生道場の石谷です。今回は最近世間を賑わせている地域枠についてお話ししていきたいと思います。ここ最近色々なメディアやSNSで議論を繰り広げている地域枠、奴隷契約だなんて意見も耳にします。こういう話を聞くと地域枠ってそんなにひどいのかなって心配になりますよね。実際に私の先輩や同期後輩でも地域枠で入学した人はたくさんいて、確かに地域枠のいわゆる縛りで苦労している人も多いようです。ちなみに私自身は地域枠ではなく、いわゆる一般枠で入学しましたが、受験生の時には地域枠も考えていました。僕の住んでいた地域では倍率も一般枠と比べて低かったので受けようと思ったんですが、僕に関しては内申点がギリギリすぎて担任に止められて受けられませんでした。でも当時のことを思い出すと、医学部に入って医者になるということが何よりの一番の目標で、その地域で卒業後10年近く働かなければいけないことや、それが医者としてのキャリア形成にどこまで影響してくるか、はたまた自分の人生設計に合っているのかなんていうことは全く考えていなくて、まあ受かったら考えようくらいに簡単に考えていました。私自身は親が医者なわけではなくて、周りに医学生や医療関係者もいなかったので、高校での説明会やオープンキャンパスぐらいでしか情報がなくて、当時はとりあえず医学部に行けるなら何でもいいくらいに思っていました。僕が受験生の頃はもう10年近く前の話なので、その時よりは今は情報が手に入りやすくなっているとは思いますが、それでも受験生の時点で卒業後のキャリアや生活のことまでイメージして地域枠を選んでいるという人は本当に一握りなんじゃないかなと思います。ということで今回は医学部受験を考えている皆さん、医学部受験生を抱える親子さん、受験生を指導している先生方、そして地域枠で入学した医学生の皆さんに向けて、地域枠とはどういうものなのか、この先どういった進路を考えればいいのかという今後の参考になる動画を作りました。動画の最後には今回の内容を踏まえての私からのメッセージもお話ししたので、ぜひ最後まで見ていってください。それではまず、そもそもなんで地域枠があるのかについて簡単にお話ししていきます。そもそも地域枠とは地域診療確保対策の一つです。簡単に言うと都市部より地域の方が医者不足なので、そこで働く医者を増やすための国の施策になります。地域枠については卒業後に特定の地域や診療科で診療を行うことを前提とした選抜枠とされていて、奨学金を対応している都道府県では都道府県の指定する区域で一定の年間医療に従事することで返還が免除されます。つまり地域枠という別枠で入学させてあげて、さらに場合によっては奨学金も上げるから、その代わりにその都道府県で一定期間は働いてねというシステムです。そしてこの地域枠ですが年々定員は増えていて、令和2年度には医学部全体の定員が933人だったのに対して、1679人、約18%が地域枠と、医学部受験生であれば地域枠は無視できない状況となっています。地域枠を選択肢から外した時点で残り8割を争うことになるので難易度としてはぐっと上がりそうですよね。一見するとまあ都会にこだわりはないかなという人や奨学金がもらえるならありがたいなという人にとってはとても良さそうなこの地域枠制度ですが、ではなぜ最近こんなにも話題になっているんでしょうか。それは特にここ数年で厳しい条件が追加されるようになったためです。例えば家族の介護や体調不良、結婚などで地元に帰りたいとなっても基本的には認められないようになりました。家族の介護や結婚となると人生の中でもとても大きなイベントなので、これが制限されるとなるとかなりきついですよね。さらに地域枠を離脱しないように周りからも固めようとしているのか、奨学金を借りている場合には元本利子を含めて一括で返済が義務付けられたり、地域枠を離脱した研修医を受け入れた病院の国からの補助の減額や募集定員の減少、研修指定病院の取り消し、募集定員の減少が検討されており、さらに専門研修では地域枠を離脱した人は専門医認定されないという仕組みも検討されていて、地域枠を離脱することによってかなりきついペナルティーを課すという動きも見られるようになっています。これが地域枠が奴隷契約だと言われてしまう一つの原因です。このようにきつい条件になった理由には色々な原因がありますが、地域枠で入学しても他の都道府県に就職してしまう例が増えてしまったことが一つの要因という風に言われています。以前は地域枠の定義や規定が曖昧だったこともあり、卒業後に地元に帰る人や初期研修だけ行ってその後に他の都道府県に行ってしまうという人がいて、その対抗策の一つとしてこういった条件が追加されるようになったようです。私も地方での勤務経験がありますが、正直かなり医者は不足していたので行政としても地域医療に従事する人員の確保はとても重大な使命ですし、地域枠ではなくて一般枠で入学した人からするとやはり不公平に感じてしまうという部分もあるので、このような縛りがついてしまうというのは一程度仕方ないことなのかもしれません。ただいざ自分のことに置き換えて考えると確かに縛りがきつすぎるかなと思うところもあります。今回のいわゆる地域枠問題で一つの争点となっているのが、受験生の時点でこのような条件を含めてしっかり判断ができるのかというところです。精神年齢が18歳まで引き下げられたこともあり、一人の大人として自分の責任でしっかり判断できるでしょという意見もありますが、私個人の意見としては自分の高校時代を思い出すと将来のことまでしっかり考えて選択するのは難しいんじゃないかなという風に思います。そもそも医師にはどういう専門分野があるのか、その専門家ではどういうキャリアプランがあるのか、そして将来自分はどのような働き方がしたいのか、まだ社会も知らない高校生にはなかなか実感が湧かないと思います。まして医学部在学中や初期研修中に志望科が変わる人がたくさんいる中で、将来何かに進んでどこで働くかなんて入学前にイメージするというのはちょっと難しいですよね。だからこそ現状の制度の中で地域枠を選ぶということは受験の難易度や金銭面でメリットはあるかもしれないけれども、自分の将来のことが分からない中で住むところや自分の専門家、そして人生設計の選択肢が狭まってしまう可能性のある不確実性の高いことだということを知っておいて欲しいと思います。私は現状の地域枠には色々な問題点は確かにあるとは思いますが、今のような状況を知った上で、家庭の事情で浪人できないから少しでも合格の可能性を上げたいという方、本来だったら手が届かないかもしれない医学部合格の可能性にかけたいという方、将来のことは分からないけれども医者になるということを優先したいという方など、様々な理由で地域枠を受験するというのは一つの選択肢だと思います。ただ親や学校塾の先生に進められてなんとなくというのは絶対に後悔するのでやめましょう。もし地域枠で受験する時には必ずその地域で指定されている専門家などがないか、奨学金の有無などをしっかり情報収集してから将来の進路に制限は出てしまうけれどもそれでも良いかということを周りともしっかり相談した上で選ぶのがおすすめです。最後にあくまで個人の意見ですが、地域枠の中でも専門家まで指定されてしまうものはあまりお勧めできないかなという風に思います。先ほど医学部在学中や初期研修中に志望科が変わるという人がたくさんいるとお話ししたように、志望科については後々変わることが多いので、ただでさえ不確実なことや制限が多い中で専門家まで決めてしまうというのは後々困ることが多いんじゃないかなと思います。実際に私の周りでも地域枠で進路を考えなければいけなかった先生方もいます。地域枠の方が専門研修をしようとすると、多くの場合は大学の医局に入局しないと取れないことが多いです。ある先生は初期研修中に結婚し子供も生まれて地方への出向が難しくなったため、大学医局の中でも近場に関連病院が多い医局という縛りの中で選ばなければならず、一番の志望科とは違う医局に入局されていました。家族ができたりすると自由に色々なところに行けるわけではないので、派遣先まで考えて医局選びをしなければいけないなんていうこともあるようです。もう一人の先生は学生の時から進みたい科を決めていたんですが、出身大学ではその科の研修ができないということで志望科と関連のある他の科を選んだとのことでした。大学によっては強い分野とそこまで力を入れていない分野があるので、大学によっても専門家の選択肢が変わってくるということがあるようです。地域枠についてはメディアやネットで様々な議論がされていますが、今日お話しした内容を知った上でそれでも選ぶのか、それとも何も知らずに選ぶのかでは全然違うと思います。現状の制度は受験生の時にした決断が約10年後の自分の進路を決めてしまうという制度です。ネットではよく18歳なんだから自分で情報を集めて自分で考えて選ばなければいけないという意見もありますが、一人で考えるのは正直難しいんじゃないかなという風に思います。私自身一浪しましたし、医学部に受かるかギリギリの厳しいラインのところで受験勉強していたので、その当時地域枠は非常に魅力的と思っていましたし、受験勉強で頭がいっぱいで地域枠に入った後のことなんて考える余裕もありませんでした。そして地域枠自体も今みたいに話題にはなっていなかったですし、医学部に入ってからのことであったり意思決定になってからということについては情報があまりなかったです。もしこの動画を見た親子さんや学校の先生がいたら、地域枠を考えている受験生と一緒にこういった将来のことまでしっかり考えて欲しいと思います。そして地域枠を考えている受験生の皆さんには是非この動画以外にもしっかりと情報を集めて周りと相談して決断して欲しいと思います。そして地域枠で入学した医学生の皆さんは現状の制度でどのような縛りや条件があるのか、これをまずしっかり確認してください。是非自分のやりたいことを早めに見つけられるといいかもしれません。そしてそのやりたいことが地域枠の条件や縛りの中でも十分にできるのであればそれでもいいと思いますし、もしそれが難しいなと感じたのであれば是非地域枠の担当の先生や事務の方に情報をもらったり交渉してみるのがいいんじゃないかなと思います。こういった進路のことは高学年になってから意識し出すことが多いと思いますが、高学年になればなるほど実習だったりとか国家試験勉強でかなり大変になって時間がなくなります。なので是非早めのうちから地域枠の先輩や先生方から情報を集めて自分のやりたいことと地域枠の範囲でできることを照らし合わせて考えてみるのがいいと思います。今日は地域枠のお話をしていきましたが、普段実際の医学生の皆さんから地域枠についての相談を受けることもあり、その中から大事に思っていることをいくつか絞ってお話ししました。まだまだ話し足りないですが長くなってしまうので今日はここまでにしたいと思います。もっと細かいことまで相談したい医学生は是非LINEに登録してメッセージをください。そしてこれからも楽しみながらためになる動画をたくさん出していきたいと思いますので、ぜひぜひチャンネル登録とグッドボタンよろしくお願いします。それではまた次回の動画でお会いしましょう。最後までご視聴いただきありがとうございました。











