Speaker A
皆さんこんにちは。医学製道場の石屋です。ということで今回は、医学生のうちに知っておきたかった薬の副作用5選についてお話ししていきます。皆さんに薬理学。僕も学生の時は試験直前になって死ぬ気で勉強して死んでました。ギリギリ最初を返しましたが、苦手意識がやっぱりすごかったです。実際にこんなコメントも来てました。薬理学の勉強が絶望的につまらないです。どの分野が重要なのか全く分かりません。どこを重点的に勉強したらいいのか教えてください。つい数年前まで学生だった僕も激しく同意です。そこで今日はちょっとでも薬理学に親しみを持ってもらえるように、臨床で超重要かつテストによく出る薬の副作用にフォーカスしてお話ししていきたいと思います。実際の臨床で重要=大学の先生も出題したいっていうことですからね。テスト前のあなたも必見です。まず何で薬の副作用が重要なのか皆さんなんとなく分かりますよね。Do No harmという言葉があるように、一番は患者さんにむやみに害を与えないためです。患者さんの体の中に入るものですから、メリットだけじゃなくデメリットもしっかり把握した上で処方することが大切です。そしてその中でもよく出やすい副作用やもし出たら放っておくと危ない副作用を最初にマークしておく必要があります。今日はそこに注目して、医学生の皆さんにも知っておいてほしい薬の副作用を5つ厳選しました。実際にあった症例も交えながら分かりやすく解説していこうと思います。そして最後にはこの動画の内容を踏まえて皆さんにはこれだけは知っておいてほしい、僕が普段の診療でとても大事にしていることをお話します。これを知らないと患者さんの体調を崩してしまうだけでなく、信頼関係が崩壊してそれによって患者さんの人生まで狂わせてしまうかもしれません。皆さんの将来のためにもぜひ最後まで見ていってくださいね。授業でこんなこと習ったよとかここ難しいから解説してほしいみたいなコメントもお待ちしてます。それでは薬の副作用5選、言ってみましょう。まず1つ目が総合感冒薬、いわゆる風邪薬です。皆さんも1回は飲んだことあるんじゃないでしょうか。これで起こる副作用が尿閉です。総合感冒薬は総合という名前がついているぐらいなので風邪で起こるいろいろな症状に対しての成分が配合されていますが、その中でも鼻水やくしゃみを抑える成分として抗ヒスタミン薬や抗コリン薬が含まれていることがあります。これが尿閉を引き起こすんです。簡単に解説していきます。ここではこの2つの薬が持っている抗コリン作用が重要なキーワードです。抗コリン作用とは読んでそのまま、アセチルコリンの作用を遮断する作用です。このアセチルコリンが排尿にも深く関わっています。膀胱と尿道を書いてみました。膀胱の内側は平滑筋という筋肉がこうやって覆っているという風に思ってください。そしてアセチルコリンは膀胱平滑筋に作用して膀胱を収縮させて、尿道に作用して尿道括約筋をこうやって緩めてくれます。それによって膀胱の中にあった尿が収縮によって押し出されて、尿道が緩まっているので外に出るという風な仕組みになっています。つまり風邪薬の抗コリン作用=アセチルコリン作用が働くとこれと真逆になるので膀胱が収縮しないで尿道も緩まらなくなります。これによって排尿が妨げられて尿閉になってしまうというわけです。皆さん、たかが尿閉、おしっこが出なくなるだけでしょうと甘く見てはいけません。皆さん膀胱にはどれぐらい尿がたまるか知ってますか?個人差はありますがだいたい500ml前後という風に言われています。そして尿意を感じるのはだいたい200ml前後という風に言われています。私の経験した尿閉の症例ではなんと膀胱に1リットル以上尿がたまってしまって、膀胱の壁がグーッと引き伸ばされて1ヶ月以上尿道カテーテルを入れておかなければならなかった人もいます。たった何の気なしにいろんな風邪薬のせいでそこまで辛い思いをすることもあるんです。これは本当に気をつけなきゃいけない副作用だと思います。特に男性で前立腺肥大がある方や高齢の方には特に注意が必要です。この薬は僕たちが処方する時だけではなくて市販の薬にも混ざっていることがあるので、もし尿閉できた患者さんがいたら風邪薬飲んでないですかと聞けたら完璧です。最後にプラスアルファですが逆に抗コリン作用を利用することもあります。それは過活動膀胱の時。復習がてらもう1回膀胱と尿道を書いてみました。アセチルコリンの作用によって膀胱が収縮して尿道が弛緩することによって排尿されるんでしたね。抗コリン作用、つまり抗アセチルコリン作用によってこの働きが阻害されて尿が出にくくなるというような仕組みでした。過活動膀胱は読んで字のごとく膀胱が過活動になってしまうのでそれを抑える目的で、過剰にコリン作用で動きすぎてしまう病態に対して抗コリン作用が治療薬として使われます。これで風邪薬の副作用からいろんなことをつなげて覚えることができました。2つ目はヒドロキシメチルグリタリルCoA還元酵素阻害薬、いわゆるスタチン系のお薬です。スタチンは血中コレステロールを強力に低下させる薬で、心筋梗塞やアテローム血栓性の脳梗塞の二次予防として重要なお薬です。スタチン系で気をつけなければいけない副作用は筋骨格系症状となります。つまり筋肉痛やこむら返り、重症なものだと横紋筋融解症などです。こちらの機序についてははっきりとはしていませんが、スタチンは肝臓性のコレステロール合成をブロックするため、それに関連して形質膜のコレステロールそのものが減少する影響やコレステロールの構成の中間代謝産物の減少に伴うタンパク質の機能障害、さらにその下流のいわゆるミトコンドリアの電子伝達系の機能に重要なコエンザイムQ10の減少などが原因と考えられています。横紋筋融解症を発症する確率は約0.01%とかなり稀ですが、発症した場合にはかなり重篤となる場合もあり死亡例もあるので注意が必要です。初期症状としては左右対称性の大腿などの大きな筋肉の筋肉痛や筋力低下、手足のしびれ、筋肉が破壊された時に出るミオグロビンが尿中に排出されることで褐色尿などがあるので、処方する時にはこのような初期症状が出うることを患者さんに伝えて気をつけておいてもらうことが大切です。ただここで一つ注意があります。実はスタチンの副作用に関するプラセボとのダブルブラインド試験ではプラセボを飲んだ方でも20数%が筋肉痛を訴えたという報告もあるんです。つまりスタチンのせいで筋肉痛が起こっていると思っていたら実は違うという例も見られるということです。確かにお酒を飲んで筋肉痛になることがあると言われるとちょっとした筋肉痛でも大丈夫かなとナーバスになる気持ちもわかりますよね。そういった無駄な心配を与えないために僕はスタチンで起こる筋肉痛の特徴についてしっかりとお伝えしています。まず大きな筋肉に起こることが多くて、飲み始めてからだいたい1ヶ月の間で起こることが多い。もし副作用が出るとしたら3ヶ月以内に大体が出揃うということ。そしてもし筋肉痛が出ても中止するとスッキリ消えて再開するとまた出てくるのであればやっぱりそれは副作用が疑わしいこと。そしてもしそれで大丈夫なら飲み続けても問題ないことが多いということをお話ししています。一番最初にお話ししたようにスタチンは心筋梗塞や脳梗塞など重大な疾患を予防するためのお薬でもあるので、こうやってしっかり説明して慎重に副作用かどうか見極めることが重要になってきます。3つ目はACE阻害薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬です。一般的には降圧薬として使われたり、腎保護作用があるので心不全や腎不全など幅広く使われている薬剤です。ACE阻害薬で気をつけておきたい副作用は空咳です。それでは作用機序についてお話ししていきます。ACEはアンギオテンシン変換酵素なので名前の通りアンギオテンシンIからアンギオテンシンIIに変換するのを助ける酵素になっています。アンギオテンシンIIは結局血圧を上昇させるような物質になっています。なのでACEを阻害してしまえばここを阻害してさえしまえばアンギオテンシンIからIIに変換されることがなくて血圧上昇も防げるよっていうのがACE阻害薬の基本的な原理になります。そしてACEは同時にこのブラジキニンという物質を分解する作用もあるんですが、一緒にここもブロックされてしまうのでこのブラジキニンが分解されずに増えていってしまいます。そしてこのブラジキニンという物質が空咳を起こす原因になっています。ここまでがACE阻害薬で空咳が起きる仕組みになります。あのランセットに掲載されたある論文ではACE阻害薬を中断した理由の70%近くがこの空咳によるものとされています。この数字からしてもやっぱり注意が必要な副作用ということが分かりますね。さらに意外と知られていないのが同じ機序で起こる咽頭の違和感です。このブラジキニンは咽頭を刺激する作用もあるので、咳が出なくても喉が何か違和感がするってことでいらっしゃる方もいます。実際に僕の外来に来た方でACE阻害薬を違うものに変えてみたら喉の違和感がスッキリしたという方もいらっしゃいました。一見大したことないように見える副作用ですけども、患者さんのQOLを考えるとやっぱり大事な副作用かなと思います。最後にACE阻害薬の副作用である空咳を逆手にとって予防できるものがあります。それは誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎を起こす方は咳反射が低下していることが多く、誤嚥の原因の一つになっています。先ほどの話を考えるとACE阻害薬が誤嚥性肺炎の予防になるというのはうなずけるんじゃないでしょうか。実際に私もよく誤嚥性肺炎の方は診療しますが、ただ抗菌薬を使えばいいというわけではなく、嚥下機能の評価から口腔ケアまで本当に奥深いし、何よりも予防が非常に難しいんです。そんな中で飲むだけで誤嚥性肺炎を予防できるこの薬は本当に重要だということがわかると思います。ここはテストでも非常に重要なところなので、これを機会にぜひ覚えましょう。さてここまで3つお話ししてきましたがどうでしょう、皆さん全部知っていましたか?ぜひコメントもお待ちしています。どれも臨床でとっても大事な薬とその副作用なので、初めて聞いたよってことがあればぜひこれを機にしっかり頭に入れてくださいね。1対1対応ではなくこのように周辺の知識と合わせて覚えるとよりしっかり頭に定着すると思います。後半もよくある薬の副作用についてお話ししていきますのでぜひ楽しみにしてください。その前にぜひチャンネル登録とグッドボタンよろしくお願いします。それでは後半行ってみましょう。4つ目はカルシウムブロッカーです。降圧薬としてはアムロジピンやニフェジピンなんかが有名ですよね。日本の高血圧患者さんは3人に1人は高血圧と言われているので外来で見ない日はないお薬になります。そんなカルシウムブロッカーで抑えておきたい副作用は薬剤性の浮腫です。薬剤性浮腫がなぜ起こるのか、それはカルシウムブロッカーでなぜ血圧が下がるのかを考えるとよくわかります。毛細血管にはその上流の細動脈から血液が流れ込むんですが、細動脈は三相構造になっていて、毛細血管は5から20μmとめちゃくちゃ細くてしかも一層構造なのでそのままの圧で血液が流れ込むといろんなところで毛細血管が破れて出血してしまいます。それを防ぐのがこの細動脈括約筋です。これが交感神経刺激によって収縮することで毛細血管へ大量の血液の流入を防いでくれています。その結果行き場を失った血液が細動脈の圧を上昇して全身の血圧が上昇するという流れです。そしてこの細動脈をブロックするのがカルシウムブロッカーです。カルシウムブロッカーが交感神経刺激をブロックすることで細動脈括約筋が収縮しないので細動脈から毛細血管に入る血流の量を増やして、細動脈の圧が下がることで全身の血圧が下がるというわけです。じゃあもう皆さんお気づきだと思うんですが、カルシウムブロッカーによって細動脈から毛細血管に入る血液の量が増えると毛細血管の圧が上がって、その結果として毛細血管から毛細血管の周りの間質に水が漏れ出すというわけです。そしてこの間質に溢れた水がいわゆるむくみになります。こうやって機序から考えるとなんで血圧が下がるのかという効果と薬剤性浮腫という副作用が一緒に覚えられてお得ですよね。実際に外来していると最近むくむんだよねって言っていらっしゃる方結構多いです。もちろん他の原因も考えつつですが、僕はまずお薬手帳を見てカルシウムブロッカーを飲んでないかなということを最初に確認します。皆さんもきっと臨床に出たら最近むくむんだよねっていらっしゃる患者さんに必ず出くわすと思う











