Speaker A
皆さんこんにちは。医学生道場の石谷です。突然ですが、皆さん初期研修を中断する人ってどれくらいいるかご存知でしょうか。厚労省が調査した結果では、2015年度から2017年度までの初期研修の採用実績は2355人。このうち中断者は294名で、なんと研修医の約1.2%が研修を中断していたということが分かっています。100人に1人より多いと考えると人ではないですよね。あの辛い国試を乗り越えた人たちに何があったのか気になって調べてみました。中断理由としては病気療養が37.4%と最も多く、妊娠出産育児が9.9%、研修内容への不満が4.1%、家族などの介護が2.4%と続いていました。このうち病気療養の項目ではメンタルヘルス上の事情を有する研修医が多く見られたということで、研修中断の原因の約3割は精神的な問題だったと言えるのではないでしょうか。皆さんも先輩などから初期研修は大変だという話を聞いたことがあると思いますが、実際にこれだけ中断している方がいるというのはかなり衝撃でした。ということで今回は皆さんに初期研修とはどういうものなのか、そしてなぜ辛いのかを知ってもらった上で、自分にあった病院選びや病院見学のポイントについてお話ししていきたいと思います。そして動画の最後には、今日お話しした内容を踏まえて初期研修で成長しつつ精神的にも折れないようなポイントをお話していきたいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。まず最初に、受験や編入の方を除くと、初期研修のタイミングで初めて一社会人として社会に出るという方も少なくないと思います。今まで学生という立場だったのに、お給料をもらって新人とはいえども自分の行動に一定の責任を持たなければいけない立場になるわけです。それはプレッシャーは感じますよね。学生との大きな違いは、学生までは与えられるタスクをこなすことが中心だったと思いますが、社会人になると自分で考えて動かなければいけないという機会も多く出てくるので、そういったギャップでも大変さを感じる人がいるかもしれません。皆さんご存知の通り、現在の初期研修制度では内科、外科、救急、産婦人科、小児科、精神科、地域研修が必修化されているので、1ヶ月から2ヶ月で色々な科をローテートするという病院が多いです。つまり1ヶ月から2ヶ月で毎回指導医も変わり、病棟が変われば看護師さんをはじめとしたスタッフも全員ガラっと変わり、場合によっては外部研修で病院自体も変わるということがあるわけなんです。そして学生時代の実習では多職種と関わるということは少ないのであまり感じなかったかもしれませんが、病棟業務や外来では看護師さんをはじめとした色々なスタッフと関わることが多いです。12ヶ月で職場を移るとなると、やっと慣れてきた頃に移動となるので、その度に看護師さんや病棟のルールを覚えなきゃいけないことになり、それもかなりの負担になります。僕のいた病院では病棟ごとに物品の配置も違ったりしたので、主治医の前の準備の時などにかなり戸惑った記憶があります。慣れない環境で誰かに聞くというのもかなりハードルが高かったので、なるべく優しそうで年も近そうな看護師さんにタイミングを見計らって聞いたりもしていました。初期研修ではこういった環境の変化もかなり多いので、そこも1つの大きなストレスになるかと思います。もちろんのことですが、初期研修は臨床での経験がほとんどありません。もちろん国家試験だったり意識の高い人はレクチャーなどで医学的な知識は積み重ねてきたかもしれませんが、国家試験との1番の違いは問題文がないということです。国家試験では75歳男性にした5年前から性的としていて、そのままにいた。1年前から段やさで入院をするようになった。週間前から発熱と咳嗽とを増加し、休みが増した。信したことはない。点は1日30本も45年間大は生であるが食欲激しいが続いている。体温37.4度、呼吸数2回、酸素飽和度87%。ルアみたいに問題文が出てきますが、実際の臨床では患者さんから最初に聞き取れるのは主訴だけになります。そこから病気を考えてどのようなことを聞かなければいけないのか、どのような検査を取りに行かなければいけないのか、これを自分で考えてまさに自分で問題文を作っていかなければいけません。病院によっては入職してすぐに当直が始まるところもあるので、この国家試験とのギャップに戸惑う人も多いと思います。また、私が1番最初に戸惑ったのは、どの薬を出せばいいのかまでは分かっても、どれくらいの量をどれくらいの日数出せばいいのかであったり、血液検査をどれぐらいの感覚で出せばいいのかというような国家試験では出てこないような部分は臨床に出て初めて意識するようになるので、今思い返すと自分自身こういう小さなストレスは積み重なっていっていたなという風に思います。やはりなんと言っても命を預かる現場に出るというのはとてもストレスがかかることです。特に救急外来や救急車の対応ではスピードを求められることも少なくありません。もちろん指導医に相談できる環境の病院が多いとは思いますが、常に一緒にいるわけではないので、すぐに指導医に相談した方がいいのか、それとも自分で調べてからの方がいいのかといった判断は自分でしなければいけないことも多いです。私は今でこそ少し慣れてきましたが、目の前で人の生き死にが決まってしまうような場面もあり、精神的にとても削られることも未だに少なくありません。これは少しずつ慣れていくかもしれませんが、慣れていくしかない。これは少しずつ慣れていくしかないかもしれませんが、初期研修の時は特に負担に感じていたなと思います。今お話しした4つだけでも初期研修って色々な負担やストレスがあるということが分かっていただけたかと思います。ちなみに皆さん、燃え尽き症候群って聞いたことありますか?別名バーンアウトとも言いますが、一般的に以前は積極的に仕事をしていた人が突然燃え尽きたように意欲を失うことだと言われています。M3が若手医師に行った調査では、医学部卒後から現在までの間に燃え尽き症候群のような状態になったことはありますかという質問で、初期研修医の約40%があると回答していました。この調査で挙げられた原因としては長時間労働、同僚やコメディカルとの人間関係など様々あるようでしたが、働き始めたばかりでも精神的に消耗してしまう人がこんなにいるということを知っておいて欲しいと思います。では、こんなに辛い初期研修、研修先にはどのような病院を選べばいいでしょうか。私が1番大切だと思うのは、2年後に自分はどうなりたいかということを意識することです。以前の動画でもお話ししたように、臨床医として3年目からバリバリ働くために救急や初期対応を学びたいという人もいれば、それこそ初期研修を終了することが1番の目標になる人もいると思います。その病院で研修したら2年後に自分はどういう風になっているのか、その病院は自分をどういう医師にしてくれるのか、これが病院選びで1番軸になる部分じゃないでしょうか。私自身は3年目以降救急や総合診療の場で臨床に出て働きたいという気持ちがあったので、3年目以降でステップアップできるように基礎の部分をしっかり学びたいと考えました。そして臨床における基礎は何なのかを自分なりに考えて、患者さんの主訴症状に基づく臨床推論、緊急性の高い疾患の初期対応、平等での働き方、これを学べる病院を探して見学に行って初期研修の先生方や指導医の先生方に話を聞いたり、実際のフィードバックの様子を見たりして、ここであれば2年後に自分の目指す医師になれそうだなと思って病院を選びました。もし研修病院選びで迷っている人がいたら、ぜひ1つの参考にしてみてください。では実際の病院見学では何を意識すればいいでしょうか。病院見学は就活という面もありますが、今回はあくまで病院選びのポイントに絞ってお話ししていきたいと思います。まず大前提として病院側は全力でいいところだけを見せようとします。つまり何も考えずに見学して病院を決めてしまうと、見学の時は「ああ、なんとなくいい病院だな」と思っていても、実際に就職してみたら全然違ったなんてことも珍しくはありません。ですからそうならないためにポイントを抑えて見学に行くことが重要です。まずよく医学生の皆さんに聞かれるのが「どれくらいの期間見学に行けばいいですか」というところです。期間についてはなかなか忙しい中だとは思いますが、できれば2日、時間があれば3日は見ておいた方がいいと思います。というのも先ほどお話ししたように初期研修には必修科があり、特に内科や救急は期間が長いので、ここが合っているかということが初期研修においては大事なポイントになるからです。そして1日の中でも定期のカンファレンスやレクチャーなど様々なイベントがあるので、1日に複数の科を回るのでは雰囲気を掴みきれないことも多く、できれば1日しっかり、もしくは時間がなければ午前午後で1つずつ診療科を見学するのがいいと思います。病院のシステムにもよりますが、特に救急では日中5時までとそれ以降で人手の数が変わったり来る患者層も違うので、その中での研修の働き方を見るのもとても参考になります。ですので、もし病院側が許してくれるなら17時以降も見学できるといいと思います。ちなみに私の同期では当直の時間帯まで見学している者もいました。次に病院見学では初期研修医について歩くことが多いですが、まず最初に注目して欲しいのが研修医の先生方が楽しく生き生きとして研修をしているかというところです。これは完全にそれぞれの主観になりますが、実際に自分が働いている姿を想像するには1つの大きな参考になると思います。2年目研修医ともなると色々な科を回ってその病院の内情も色々知っていたりするので、もし聞きやすそうな先生がいたら少し踏み込んだ病院のメリット・デメリットを聞いてみてもいいかもしれません。そしてもし6年生で見学に行くという方がいれば、その年の初期研修1年目が自分の直属の先輩になるので、その人たちがどんな人たちなのかを知っておくというのはとても重要です。研修医同士が被った時には1番話しやすい存在になり得ますし、初期研修が始まったばかりで何が分からないかが分からない状態の時に1番理解してくれる存在になるからです。その先輩たちが自分に合いそうなのか合わなそうなのかは初期研修、特に1年目ではとても重要になってくるのでしっかりチェックしておきましょう。今は感染症の流行もあるのであるかどうかは病院によってそれぞれだと思いますが、もし歓迎会などやってくれるところがあればぜひ参加した方がいいと思います。病院では話せないようなことを初期研修の先輩から聞くいい機会になりますし、将来一緒に働くかもしれない先生たちの雰囲気や病院や局の雰囲気を知るいいきっかけになると思います。このようなポイントを抑えてぜひ自分を成長させてくれる自分にあった研修病院を探してみてください。初期研修をうまく生かすことができれば医師としてとても成長できる2年間になりますが、それでも1番大切なのは自分自身の健康だと思います。実際に私の周りでも成長することに意識を向けすぎたり、周りに迷惑をかけないために頑張りすぎたりして体調を崩してしまう方を何人も見てきました。私は普段から心が折れたり体調を崩さないように、かつ自分が成長できるようにと心がけていることが1つあります。それは自分の状態をできるだけ客観視するということです。皆さんはコンフォートゾーン、ストレッチゾーン、パニックゾーンという言葉をご存知でしょうか。これは人が成長する仕組みを3つのゾーンに分けて考えた概念です。コンフォートゾーンとは居心地が良くリラックスできる環境のことです。慣れ親しんだ職場環境の中ですでに習熟済みの業務をこなしている状態で失敗する可能性が低いため安心感がありいい環境ではあります。しかしコンフォートゾーンにとどまり続けると業務に飽きてきて物足りなさを感じたりモチベーションが低下したりします。さらに現状以上の成長が見込めないなどのデメリットもある状態です。逆にパニックゾーンとは正常な判断や状況把握ができなくなるほど強い不安やストレスを感じる領域のことです。段階的な成長を踏まえず、これからお話しするストレッチゾーンを飛び越えてしまうことでパニックゾーンに入ってしまいます。ストレッチゾーンとは現在の状態から少し背伸びしてやっと到達できる領域のことです。パニックゾーンのようにただただ辛く混乱した状態ではなく、ストレスは多少感じながらも精神的に安定して次のステップに進めるようなゾーンになります。このゾーンにいることで感情面にもポジティブな影響を与えるという研究もありそうです。私は常日頃からできるだけ自分がどのゾーンにいるのかを客観視できるように心がけています。そしてできるだけストレッチゾーンにいてちょうどいい成長をできるように。ただ体力的精神的に大変な時はあえてコンフォートゾーン











