要点
アクセシブルなキャプションとは、単に存在するだけのキャプションではありません。台詞に加えて意味を持つ非言語音も伝え、話者が変わるたびにそれを示し、話されるタイミングに合わせて表示・非表示が切り替わります。字幕はまた別のもので、通常は台詞のみを扱い、翻訳であることが多いです。トランスクリプトはタイミングを持たないテキストで、プレーヤーをまったく使えない人のためのものなので、代替ではなく別の成果物として用意する必要があります。修正の工程を経ない自動生成キャプションが、よくある失敗のパターンです。
「キャプションはアクセシブルでなければならない」と誰かに言われた。すでにキャプションはある。となると、その二つの文の間にどんなギャップがあるのかを考えることになるが、誰も具体的には教えてくれない。
そのギャップは、動画にキャプション自体が存在しないというケースはほとんどありません。問題は、そのキャプションが使い物にならないという点であり、それは聴覚障害や難聴のある視聴者が実際にそれを使って動画を追おうとするまで表面化しないことです。以下では、それが実際に何を意味するのか、遭遇する順番で説明します。
三つの言葉、三つの成果物、三つの対象者
キャプション、字幕、トランスクリプトという言葉は、普段の会話では区別なく使われがちですが、あなたが受け取った要件はほぼ確実に区別しています。二つの名前が挙げられていれば、二つの成果物が求められているということです。
キャプションは台詞に加えて、意味を持つ非言語音も伝えます。視聴者が何も聞こえていないという前提で書かれるため、映像に映っていない、音声だけが伝えている情報はすべてテキストに含める必要があります。
字幕は通常、台詞のみを伝え、翻訳であることが多いです。視聴者が音声は問題なく聞き取れるが、話されている言語がわからないという前提です。アラームが鳴ったことを字幕は伝えません。対象言語を聞き取れる視聴者には、その説明は不要だからです。
トランスクリプトはテキストのみで、タイミングは持ちません。キューもなく、同期もなく、プレーヤーも関係しません。画面読み上げソフトを使う人、動画プレーヤーを操作できない人、そして単純に読みたいと考える人のためのものです。
最後の点が、最もよく混同される部分です。動画の横にトランスクリプトを置いても、キャプションの要件を満たすことにはなりませんし、キャプションファイルがあってもトランスクリプトの要件を満たすことにはなりません。それぞれ異なる経路で異なる人に届くからです。一つだけ作って両方だと呼んでも、実際には一つしか作っていません。
はっきり言っておくべきことがあります。アクセシビリティに関する義務は国によって、業種によって、組織によって異なります。自分でチェックして済ませられる単一の世界標準は存在しません。重要なのは、自分の組織が実際に従うべき規定であり、それは組織内の誰かが知っているはずです、たとえまだ伝えられていなくても。推測でプロセスを組む前に、必ず確認してください。
キャプションは音を伝える、話し言葉だけではない
これは、キャプションを音声のテキスト化としてしか考えていなかった人にとって驚きの部分です。ドアが閉まる音。アラーム。画面外からの笑い声。電話が鳴って、画面の人物が話の途中で止まる。どれも台詞ではなく、どれも映像には映っていません。
音声が聞こえない視聴者があなたの動画を見て、説明のつかない出来事が起きたとしたら、キャプションはまさにその存在理由において失敗しています。あなたが一度も言及しなかった音に反応している画面上の人物は、今、理由のわからない行動をしていることになります。
判断基準は「音があったか」ではなく「その音が意味を持つか」です。室内の環境音にキャプションは不要です。誰も反応しない背景音楽も、通常は不要です。しかし、みんなが部屋を出るきっかけとなったアラームには必要です。台詞の受け取り方を伝える笑い声にも必要です。この判断は自動化できるルールではなく、実際に人が下す判断であり、それこそファイルを人の目で確認する工程が重要である理由の一つです。実務での扱い方をより詳しく知りたい場合は、クローズドキャプションについての解説で仕組みを説明しています。
一方で、やりすぎにも注意が必要です。すべての物音に注釈をつけるキャプションは、台詞と読む時間を競合させ、視聴者を動画から遅れさせてしまいます。場面の意味を変えるものだけを含め、それ以外は省きましょう。
誰が話しているかを示す
三人の台詞が誰の発言か示すことなく連続して流れるキャプションは、技術的には存在していますが、実質的には使えません。これは、あらゆる形式チェックを通過したファイルに最もよく見られる欠陥です。チェックはキャプションが「存在するか」を確認するだけで、「読めるか」は確認しないからです。
聴覚に問題のない視聴者が無償で得ているものを考えてみてください。声はそれぞれ違って聞こえます。答えた声が別の人物のものだとわかるのは、それが別の喉から出た音だからで、しばしば部屋のどちら側から聞こえたかもわかります。音声を取り除くと、それらはすべて消えます。画面上では、リアクションショットやクローズアップによって、話している人が文の間ずっとカメラに映らないこともあります。
話者の変わり目を示す表記の慣習はハウススタイルやプラットフォームによって異なりますが、一般的な方法であれば、ファイル内で一貫して使う限りどれでも機能します。機能しないのは、何も示さないことです。インタビュー、パネルディスカッション、会議の録音など、複数の声が登場するものは、切り替わるたびに毎回それを示す必要があります。同じ二人が短い発言を素早く交わしている場合も例外ではなく、実はそここそが読者が最も話の筋を失いやすい箇所です。
話し言葉に合わせたタイミング
キャプションは、言葉が話されたときに表示され、話されなくなったら消える必要があります。キャプションが一拍遅れて表示されると、視聴者はその台詞への反応を見た後にその台詞を読むことになります。次のカットまでキャプションが居座ると、あるシーンを見ながら別のシーンの文字を読むことになります。
どちらも、一つのキューだけなら致命的ではありません。しかし十分間続くと、視聴者は疲れてしまい、キャプションなしで見た方がまだ理解できたかもしれない、という状態になります。よくある原因はズレの蓄積です。最初は同期していたファイルが、進むにつれて次第に遅れていく現象で、しばしば動画の一つのバージョンに合わせて生成されたキャプションを、前後に余分な秒数がある別バージョンに適用したことが原因です。
確認すべきはファイルの終わりで、始まりではありません。始まりは誰でも確認します。長い動画の最後のキューがまだ台詞に合っているなら、中間部分もおそらく問題ありません。ズレていたら、部分的な修正ではなくファイル全体の再タイミングが必要です。SRTファイルバリデーターによる構造チェックを使えば、アップロード前に重複したキューや不正な形式のキューを見つけられますが、言葉自体が正しいかどうかまでは判定できません。
自動生成キャプションと、使えるものにするための確認作業
修正の工程を経ない自動生成キャプションは、組織が自分たちの要件を満たさないキャプションを抱え込むことになる、最もよくある原因です。通常、信頼できない句読点の付け方、話者の切り替わりの表示なし、意味を持つ非言語音の記載なしという状態で出てきます。これは、システムが音声の文字起こしを求められ、その通りに実行したためです。
とはいえ、自動生成キャプションが無意味というわけではありません。良い下書きになり、純粋な入力作業にかかる時間を実際に短縮してくれます。問題は、その出力を完成品として扱ってしまうことで、本来は素材として扱うべきです。下書きを完成品に変えるのは、ファイルを動画と照らし合わせて確認する人の作業で、間違った単語、文の区切り、話者の切り替わり、意味を持つ音、この四つを直します。
その下書き自体については、SozAIが、音声・動画ファイル、録音、YouTubeのリンクを、話者ラベル付きのテキストに99以上の言語で変換してくれます。iOS、Android、macOSのアプリで使えて、サイトにはブラウザ内で完全に動作し何もアップロードしない無料の字幕ツールやカウントツールも用意されています。話者ラベルがあると切り替わりの確認が楽になりますが、音のキューと最終的なタイミング調整はまだ自分で加える必要があります。
この確認作業の分の時間は予算に組み込んでおいてください。ゼロから文字起こしするより短く、何もしないよりは長い作業ですが、これこそが「存在するだけのファイル」と「実際に使えるファイル」を分ける、まさにその差です。
ここまでやっても、なお起こりうる問題
それでも問題は数多く残るので、あらかじめ知っておいた方がいいでしょう。
- 固有名詞、専門用語、製品名は自動文字起こしで誤って出てくることが多く、そのまま直らずに残ります。内容に詳しくないレビュアーは、用語がわずかに間違っていることに気づかないからです。
- キャプションファイルが編集後の別バージョンの動画に紐づけられてしまい、同期がずれます。トリミングの後に再確認する人は、ほとんどいません。
- トランスクリプトはいつの間にか作られないままになります。公開作業の流れの中で明確な担当工程がなく、欠けていてもエラーにならない成果物だからです。
- 翻訳された字幕トラックが、キャプショントラックのようにアップロードされることがあります。その結果、元の言語を使う聴覚障害のある視聴者には台詞だけが提供され、音のキューが伝わりません。
これらのどれも、実際に多くの動画が受けている「最初の30秒だけの抜き取りチェック」では見つかりません。プロセスを作るなら、チェックはファイルの最後、そして最終編集の後に置くべきで、その前に置くべきではありません。
もう一つ心に留めておくべきことは、キャプションファイルをどれだけ丁寧に作っても、自分の組織の義務が何であるかは決まらないという点です。それは組織が従うべき規定から決まり、そうした要件が実際にどのように定められているかの実務的な詳細は、文字起こしとアクセシビリティ対応についての記事で扱っています。まずその答えを確認し、その上で、ここで説明した工程を、実際に求められる内容に適用してください。

