重要なポイント
2時間の録音であれば、自動文字起こし自体にかかる時間はごくわずかです。ソフトウェアがボトルネックになることはありません。その夜の作業時間を決めるのは、そのあとの修正作業です。検索用に使える程度の粗い文字起こしならほとんど手直しは不要ですが、引用や公開に使うものなら音声と照らし合わせながら人名や数字、複数人が同時に話す部分をすべて確認する必要があります。手作業で入力する場合は録音時間の数倍かかり、音質が悪いほどさらに時間がかかります。時間をかけるべきはソフトウェア選びではなく、修正作業のほうです。
2時間分の会話は、一般的な話す速度で計算すると、だいたい1万6000語から1万8000語ほどになります。これは短めの本1冊分に近い量です。この数字だけでも、これから何が待っているかがわかります。誰もそれを一気読みしたいとは思いませんし、ほかに方法があるなら、ゼロから手入力しようとは考えないはずです。
これにどれくらい時間がかかるかという問いには、自分でコントロールできる2つの要素と、コントロールできない1つの要素が関わってきます。音声のクリアさ、仕上がりの文字起こしにどこまでの精度が必要か、そして自分がどれくらい速く入力・確認できるか。ソフトウェアが変えられるのはこのうちの一部だけで、残りの2つには影響しません。
まず計算してみる
講演やレクチャー形式の話し方は、通常1分あたり130語から150語ほどのペースになります。会話はもっと速く、ペースも一定しません。人が同時に話したり、文の途中で言い直したり、話が途切れたりするためです。講演のペースで計算すると、1時間の話はおよそ8000語から9000語になります。これを2時間分に単純に倍にすると、1万6000語から1万8000語という数字になり、1人が話しているのではなく議論形式であれば、さらに多くなります。
これは、実際にどうやって文字起こしを作るかを決める前の話です。手を付ける前に自分の録音の語数をざっくり知りたいなら、話す時間計算ツールを使えば1分ほどで目安がわかります。15分の短いクリップと2時間の会議は、実際に測ってみるまでは似たような作業に感じられますが、まったく別の仕事です。この見積もりは話す時間計算ツールで確認できます。
自分で入力するのは思っているより時間がかかる
今夜これを手作業で入力するかどうか悩んでいるなら、まず本当の倍率を知っておく必要があります。手作業での文字起こしは、録音時間の数倍かかります。これは入力そのものが遅いからではなく、話す速度で聞きながら正確に入力することが同時にはできないからです。音声を止め、少し巻き戻し、聞こえた内容を入力し、また再生する。この繰り返しがずっと続き、聞き慣れない用語や速い話し方、複数人が同時に話す場面が出てくるとさらに悪化します。
この倍率は音声の難しさに応じて大きくなるだけで、小さくなることはありません。普通の会話ペースのクリアなインタビューでも、止めたり巻き戻したりする分を含めると、録音時間の3倍から4倍はかかります。知らない専門用語が多い講演になると、スペルや言い回しを確認するために何度も止めることになるので、それをさらに大きく超えてきます。2時間の録音を手入力するのは、今夜だけで終わる作業ではありません。何日かに分けて進める規模の作業だと、始める前に知っておいたほうがいいです。
自動文字起こしは遅くならない。品質が落ちるだけ
これは初めて試したときに驚かれる部分です。自動文字起こしは、音声が難しくなっても処理時間が長くなるわけではありません。静かな部屋で1人だけがはっきり話している録音でも、電話回線が悪い状態で3人が言い争っている録音でも、処理にかかる時間はほぼ同じです。音声の難易度によって変わるのは、結果の精度であって、処理時間ではありません。
これは同じ話の中に良い面と悪い面が両方含まれています。良い面は、条件が悪くても待ち時間が伸びないこと。ソフトウェアは自分のペースで処理を終えます。悪い面は、前半で節約したはずの時間が消えるわけではなく、あとの修正作業にそのまま回ってくることです。音声からテキストへの変換の裏側にあるような仕組みは、2時間分のファイルでも完成した文書をすぐに返してくれます。ただ、その文書がほぼ仕上がっているか、じっくり確認が必要かは、マイクに入った音声の状態次第であり、ソフトウェアの処理の仕方とは関係ありません。
修正作業がその夜の時間を決める
ここが誰も予算に入れていない部分であり、実はいちばん重要な部分でもあります。あとで検索するために作る文字起こし、たとえば誰かが日付に触れた箇所を探したり、決定事項をざっと確認したりするための文字起こしは、ほとんど修正が要りません。おおよそ何が書かれているはずかがわかっているので、小さな誤りは読み流せます。2時間の録音であれば、この程度の確認作業は20分ほどでざっと目を通して使える状態か確認できます。
引用したり公開したり、その場にいなかった誰かに渡すための文字起こしは、まったく別の作業です。こちらは音声と照らし合わせながら1文ずつ確認する必要があります。引用の中の誤りは、自分用のメモの誤りとは性質が違う問題だからです。2時間分の音声であれば、そうした丁寧な確認作業には自分の時間としてほぼ2時間かかり、内容が濃かったり専門的だったりすればそれ以上かかることもあります。
ここで1つだけ本当に助かる話があります。誤りは録音全体に均等に分布しているわけではありません。人名、専門用語、数字、複数人が同時に話す部分こそが、自動文字起こしが実際に失敗する箇所です。2時間の録音のほとんどの部分は基本的に正しく仕上がってきて、複数人が同時に話していたり、誰かが数字を早口で言った箇所など、ほんの数分だけ本当に注意が必要になります。その数分がどこにあるかおおよそわかっていれば、文書全体を頭から読み返す代わりに、そこだけを直接確認できます。録音の長さと文字起こしを何のために使うかをもとに、文字起こし時間計算ツールで先に自分の数字を出しておけば、始める前の当て推量よりも現実に近い計画が立てられます。
ファイルを分割しても時間は短縮されないが、作業は楽になる
2時間の録音を文字起こしする前に30分ずつ4つに切り分けても、作業全体の速さは変わりません。ここまでの計算は変わらず、2時間分の話を文字起こしし、必要な部分を修正することになるのは、ファイルをどう切ろうと同じです。変わるのは、作業を中断できるかどうかという点です。
1つの2時間ファイルは、実質的に1回の作業になります。あとで開き直すと、区切りのない長い文章の中で自分がどこまでやったかを探し直すことになるからです。4つに分けたファイルなら、4回の作業に分けられ、今夜1つ、明日1つ、残りを来週といった進め方をしても、どこで止めたか迷わずに済みます。この長さの録音――そもそも一気に最後まで終わらせるのが多くの人にとって現実的ではない長さ――では、並行して処理することで得られるどんな速さよりも、この「中断できる」という点のほうが重要になります。修正作業をきちんとやるつもりなら、一度で座って終わらせようとするより、分けて進める計画を立てたほうがいいです。
ファイル分割を自分で管理する代わりに、まとめて1つのファイルを処理してくれるアプリという選択肢も知っておく価値があります。この文字起こしアプリはダウンロードページからiOS、Android、macOS向けに入手でき、音声、動画、録音、あるいはYouTubeのリンクを受け取って、話者ラベル付きのテキスト、要約、そして幅広い言語への翻訳を返してくれます。これはここまで説明してきたいくつかの方法のうちの1つであり、修正作業そのものを飛ばせる近道ではありません。
現実的に自動化できない部分
自動文字起こしは、教えない限り話者の名前を知りません。推測する手段がないラベルを割り当てるだけで、誰かが修正するまではそのままです。また、一度も見たことのない綴りの人名や、自分の分野特有の用語、速い文の中で早口に言われた数字も、確実には捉えられません。これらはまさに修正作業がいつも集中する箇所であり、どれだけ処理能力が高くても避けられません。
複数人が同時に話す部分は、どちらの方法をとってもほぼ回復不能です。2人が同時に話すと、自動文字起こしも手入力の人間も、どちらかの内容を落とします。ソフトウェアは1つの発言に絞り込んでもう一方を捨て、手入力する人も同じ問題を抱えます。ただ手入力のほうがより時間がかかるだけです。2時間の録音の中に重なって話している部分が長く続く箇所があるなら、その部分専用に修正時間を多めに確保してください。どちらの方法でも、両方の発言をきれいに読める形にはならないと考えておいたほうがいいです。
2時間という見積もり自体も、あくまで出発点であり、保証ではありません。ペースが安定していて、話者が1人で、用語も馴染みのある録音は、ここで説明したすべての段階を、3人が話していて、マイクの音質が悪く、よく知らない分野の録音よりも速く通過します。ここまでの計算は、その夜の計画を立てる材料にはなりますが、1回で終わると約束するものではありません。

