なぜ、一番まともな人間から仕事を辞めるのか【ゲーム理論 × 組織論】 — Transcript

なぜ最も誠実で有能な社員が先に辞めるのかをゲーム理論と経済学で解説。職場の協力崩壊の構造を明らかにする。

Key Takeaways

  • 最も誠実で有能な社員が先に辞めるのは構造的な問題であり、個人のわがままではない。
  • 協力が罰則なしに維持されることは難しく、ただ乗りが協力者を疲弊させる。
  • 会社は社員の真の貢献度を正確に評価できておらず、これが優秀な人材の離職を促す。
  • 外部の労働市場での評価が高い人ほど、辞める選択肢を持ちやすい。
  • 現代の職場環境は協力者の脱出を加速させており、組織論と経済学の視点からの対策が必要。

Summary

  • 職場で最もまともで協力的な人が先に辞める現象を観察。
  • 公共財ゲームの実験で協力者がただ乗りにより損をする構造を説明。
  • 罰則がない環境では協力が崩壊し、誠実な人が先に割を食う。
  • 経済学者アカロフのレモン市場理論を用いて、会社が良い人材を正しく評価できない問題を指摘。
  • 日本企業では協力的な行動が評価されにくく、平均的な待遇しか受けられない。
  • 有能な社員は外部からの評価が高く、脱出オプションを持っているため辞めやすい。
  • 不満を持つ人は多いが、辞めるかどうかは外部の選択肢の有無に依存する。
  • 業績の高い社員ほど自発的離職率が高いという研究結果を紹介。
  • 現代日本では退職代行の利用増加など、脱出の動きが顕著になっている。
  • 協力者が辞める構造は冷たい数式で説明でき、職場の構造的問題として理解すべき。

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Speaker A
4月の最終、会社のあちこちで同じ言葉が聞かれていた。あの人が抜けたらうちのチーム本当に回らないよね。誰もがそう言っていた。を守るのも新人の面倒を見るのも面倒な調整役を引き受けるのもいつもその人だった。仕事ができて感情的にならず誰に対しても誠実。職場で1番まともな人だった。その人が5月の連休明けにやめた。引き継ぎ資料は完璧だった。有給は1日も揉めずに静かに消化された。最終出社日も本人は淡々としていた。相別会の席で上司は残念だと言い同僚たちはもったいないと言った。そして半年後、その職場にはまだあまりやめない人たちが残っている。仕事を抱え込まず面倒を避け、かもなく不可もなく時間を埋めている人たちだ。世間はこの現象を会社がブラックだったからで片付ける。あるいは優秀な人はわがままだからで、だがここで1つ引っかかることがある。もし本当に会社が悪いだけならなぜ1番まともな人が先にやめたのだろう。1番不満を持っていそうな人ではなく、1番まともで、1番穏やかで、1番会社に貢献していた人から順番に消えていく。まるでまともさがその職場から脱出するチケットであるかのように。今日はこの現象をゲーム理論と組織論、そして経済学のいくつかの定理を重ねながら裏側から解体していきたい。結論を先に言っておく。優秀な人がやめるのではない。やめられる人からやめていくのだ。そしてその構造はあなたが思っているよりずっと冷たい数式で書かれている。話を1980年代のある実験室から始めたい。経済学者エルンストフェアとシモンゲターは人間が集団の中でどう振る舞うかを調べるためにある単純なゲームを設計した。公共剤ゲームと呼ばれる。イメージしやすいようにこう考えて欲しい。4人がテーブルを囲んで座っている。全員に1万円ずつ配られる。テーブルの真ん中には箱が1つ置かれている。各自は配られた1万円のうちいくらを真ん中の箱に入れるかを自分だけで決める。誰がいくら入れたかは後で分かる。そして箱に集まったお金は例えば2倍に増やされた後入れた額に関係なく4人で山分けされる。つまり4人全員が1万円を全額入れれば箱の中身は4万円。それが2倍の8万円になって4人で割って1人2万円。全員が配られた額の倍になって帰ってくる。これが理想だ。だがここに罠がある。4人全員がきちんと1万円を入れればさっき見た通り1人2万円。誰もが手元の1万円を2万円にできるところが、もしあなただけが1万円を入れ、他の3人が1円も入れなかったら箱の中身は1万円、2倍でも2万円。4人で割ってあなたに戻るのはたった5000円。1万円を出して5000円。差し引き5000円の損だ。逆にあなたが1円も入れず、他の3人が1万円ずつ入れてくれたら、箱の3万円が2倍の6万円、4人で割って1人1万5000円。あなたは手元の1万円をそのまま残したままさらに1万5000円を受け取る。何もしなかったあなたが1番得をする。つまりテーブルの中で1番賢い動きは1つしかない。自分の財布は閉じたまま他人の財布だけ開かせる。これがいわゆるただのりフリーライダーだ。フェアとゲターの実験で何が起きたか。最初多くの人は善でそこそこの額を共同の財布に入れた。協力的なスタートだった。ところが回を重ねるごとに投資額はずるずると下がっていった。理由は人々が急に意地悪になったからではない。入れ続けた協力者がただ乗りする人間にされ続けるのを目撃したからだ。自分ばかりが損をしていると気づいた協力者は入れる額を減らす。すると次の人も減らす。協力は雪だるま式に崩れ、最後には誰もほとんど入れなくなった。ここで重要なのは崩壊が裏切り者の勝利では終わらないことだ。最終的には全員が損をする。それでもその崩壊に向かう過程で1番先に割を食うのはいつも1番誠実に協力していた人間なのだ。ちなみにフェアとゲターはこの実験にただのりを罰すると言う選択肢を足すと崩れた協力が回復することも確かめている。報復の仕組みがあれば協力は守られる。逆に言えば罰の効かない場所では協力は守られない。そして今日の話の主役はまさにその罰が効かない職場の方だ。ここまでは実験室の話ではこの協力者が先に損をする構造が現実の会社でどう作動するのか。満員電車を想像してほしい。あなたの隣で若い男が老人の足を踏んでいる。スマホに気を取られて気づいていない。足踏んでますよと声をかけるのは一見ただの親切だ。だが声をかけた瞬間車内の空気は少し気まずくなる。降りる駅まで視線を浴びるかもしれない。何かを正すという行為には正す側にコストがかかる。職場のまともな人とはこのコストを毎日払い続けている人のことだ。誰かのミスを黙ってカバーする。荒れた会議の空気を整える。新人の質問に手を止めて答える。どれも共同の財布にお金を入れる行為だ。そして公共剤ゲームの数式通り入れた本人に戻ってくる分は入れた額より少ない。組織はこの人をいい人と呼ぶ。だが構造的に見ればこの人は毎日自腹を切っている協力者だ。ここでもう1つ別の学問の地図を広げたい。協力者がなぜやめるのかを説明するにはゲーム理論だけでは足りない。経済学の出番だ。1970年、経済学者ジョージアカロフがたった13ページの論文を発表した。タイトルはレモン市場。レモンとは英語のスラングで外見はまともだが中身が不良の中古車を指す。この論文は後にアカロフにノーベル経済学をもたらすことになる。アカロフが解いた問題はこうだ。中古車市場には良い車とレモン不良車が混ざっている。売手は自分の車の質を知っているが買手には見分がつかない。これを情報の非対称性と呼ぶ。相手は質を見分けられないから平均的な値段しか払おうとしない。良い車にもレモンにも同じ平均価格しか提示しない。すると何が起きるか。良い車を持っている売り手にとって平均価格は安すぎる。割に合わない。だから良い車の持ち主は市場から降りていく。市場に残るのはレモンばかりになる。買手はそれを察してさらに値段を下げる。するとややまともな車の持ち主も降りる。質の良いものから順番に市場を去り、最後には市場そのものが壊れる。これがレモン市場の理論だ。質を見分けられないというただ一点が良いものから順に退場させ、市場を内側から腐らせる。さて、ここで会社の話に戻ろう。会社という組織は巨大なレモン市場である。なぜか?多くの日本企業では社員1人1人の本当の貢献度が正確には見えていない。誰が共同の財布に毎日お金を入れているのか、誰が黙って降りているのか。人事評価はそれを完璧には捉えられない。とりわけ荒れた空気を整えた。新人を助けた。面倒な調整を引き受けた。こういう協力行動は数字に残らない。評価シートの欄がない。つまり会社の中ではまともな協力者とうまく立ち回るただのり社員が見分のつかないまま同じ平均価格で扱われている。同じような処遇、同じようなボーナス。同じような肩書き。ここでアカロフの数式が静かに作動を始める。平均価格は本物の協力者にとっては安すぎる。割に合わない。一方、ただのり社員にとっては割が良すぎる。実際の貢献より高く買われている。この価格のずれに最初に気づくのは誰か?1番まともな人だ。彼らは自分が何を会社に入れているかを正確に知っている。そして自分が平均価格でしか評価されていないことにも気づく。中古車市場で良い車の持ち主が先に降りたように会社でも質の高い協力者から順に市場を降りていく。そして残るのはレモン市場の結論をもう一度思い出して欲しい。残るのはレモンばかりだ。ここまでで1つ当然の疑問が湧くはずだ。割に合わないと気づいた協力者が不満を抱える。ここまではいい。だが不満を理解することと実際に会社をやめることの間には本来は大きな隔たりがあるはずだ。不満を持つ人はどんな職場にも山ほどいる。それでも多くはやめずに残る。ではなぜまともな協力者に限って不満がそのまま退職という行動にまで一直線につながってしまうのか。答えは不満の大きさではない。辞められるかどうかだ。組織論の世界には半世紀以上前から離職の研究という分厚い蓄積がある。その中で最近になってはっきり確かめられたことがある。それは業績の高い社員ほど自発的に会社を辞める確率が高いという不都合な事実だ。2009年に発表されたある大規模研究がある。保険会社の従業員1万2545人を3年間にわたって追跡したものだ。研究者が検証したかったのは愛する2つの仮説だった。仮説A、優秀な社員は会社に高く評価され壊れているのだから満足して残るはずだ。仮説B、優秀な社員は外の会社からも欲しがられる。だから外に選択肢が多く辞めやすいはずだ。データが示したのはBだった。業績が高い人ほど外部の労働市場で高値で結果として辞めていく。しかもこの研究は興味深い条件も見つけている。会社の昇給のスピードと外の出業率次第で優秀な人が残るかやめるかが変わるというものだ。外に良い選択肢があり、中の昇給が遅ければ優秀な人は迷わず外へ出ていく。これは一社の話ではない。2012年に発表された別の研究は複数の企業データを分析して報告している。極端に業績の高い人材は報酬の出し方が外部企業より見劣りする会社からは離れやすく、しかもやめた後自分で起業する確率まで高い。逆に業績の低い社員はそういう会社からは離れにくい。ここから見えてくるのは1つの冷たい定理だ。市場価値が高いとは能力が高いという意味ではない。この職場から脱出するオプションを持っているという意味だ。優秀さとはドアの鍵のことだ。まともな協力者は有能だから外から声がかかる。外から声がかかるからいつでも出ていける。いつでも出ていけるから割に合わないと気づいた瞬間実際に出ていく。一方、共同の財布にあまりお金を入れてこなかった人。うまく立ち回り面倒を避け、かもなく不可もなくやってきた人は外の市場でも平均価格かそれ以下でしか評価されない。だから外に選択肢が乏しい。脱出オプションを持っていない。不満があってもやめられないだから残る。ここで公共剤ゲームとレモン市場が1本の線でつながる。協力者は毎日コストを払っている。会社はそのコストを見分けられず平均価格でしか報いない。そして協力者は有能ゆえに脱出オプションを持っている。コストを払っている人間が脱出する鍵も持っている。だからまともな人からやめていく。これは誰かの裏切りでもわがままでもない。3つの定理が重なった時に必ず出てくる構造上の均衡なのだ。この構造自体は昔から存在していた。だが2020年代の日本ではその脱出がかつてないほど目に見える形を取り始めている。2つの数字を上げたい。1つ目、アメリカの調査会社ギャラップが毎年公表している世界の従業員エンゲージメント調査だ。エンゲージメントとはざっくり言えば仕事に前向きに関与している度合のこと。24年の報告では世界で仕事に前向きに関与している従業員はわずか21%。6割以上が関与していない状態だった。この関与していない状態がいわゆる静かな退職。会社にいるが最低限のことしかしない。心理的にはもう降りている状態だ。ギャラップは同時にこんな分析もしている。仕事に前向きな従業員は転職するのに平均31%の供給を必要とするのに対し関与していない従業員は22%の供給で職場を変える。前向きな人ほど職場が引き止めの壁として機能している。逆に言えば心理的に降りた人間はわずかな条件で動く。あるいは動く先の選択肢がないまま降りた状態でいる。2つ目は日本に固有の現象だ。退職代行サービス。本人に代わって業者が会社に退職を伝えるサービスだ。前ナビの調査によると上半期に退職代行を使った退職者がいた企業の割合は2021年の16.3%から2022年19.5%、2023年19.9%、そして2024年上半期には23.2%に達した。およそ4社に1社だ。業種別では金融、保険、コンサルティングが31.4%、IT通信が29.8%で上位を占めた。ここで注目したいのは利用率が高いのが雇用の流動性が高く企業の
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Speaker A
[音楽]なゲームを設計した公共剤ゲーム と呼ばれる。イメージしやすいようにこう 考えて欲しい。4人がテーブルを囲んで 座っている。全員に1万円ずつ配られる。 テーブルの真ん中には箱が1つ置かれて いる。各自は配られた1万円のうちいくら を真ん中の箱に入れるかを自分だけで 決める。誰がいくら入れたかは後で分かる 。そして箱に集まったお金は例えば2倍に 増やされた後入れた額に関係なく4人で 山分けされる。つまり4人全員が1万円を 全額入れれば箱の中身は4万円。それが2 倍の8万円になって4人で割って1人 2万円。全員が配られた額の倍[音楽]に なって帰ってくる。これが理想だ。だが ここに罠がある。4人全員がきちんと 1万円を入れればさっき見た通り1人 2万円。誰も[音楽]が手元の1万円を 2万円にできるところが、もしあなただけ が1万円を入れ、他の3人が1円も入れ なかったら箱の中身は1万円、2倍でも 2万円。4人で割ってあなたに戻るのは たった5000円。1万円を出して 5000円。差し引き5000円の損だ。 逆にあなたが1円も入れず、他の3人が 1万円ずつ入れてくれたら、箱の3万円が [音楽]2倍の6万円、4人で割って1人 1万5000円。あなた[音楽]は手元の 1万円をそのまま残したままさらに 1万5000円を受け取る。何もし [音楽]なかったあなたが1番得をする。 つまりテーブルの中で1番賢い動きは1つ しかない。自分の財布は閉じたまま他人の 財布だけ開かせる。これがいわゆる ただのり[音楽]フリーライダーだ。 フェアとゲターの実験で何が起きたか。 最初多くの人は善でそこそこの額を共同の 財布に入れた。協力的なスタートだった。 ところが貝を重ねる[音楽]ごとに投資額 はずるズると下がっていった。理由は人々
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Speaker A
[音楽]が急に意地悪になったからでは ない。に入れ続けた協力者が[音楽] ただ乗りする人間にされ続けるのを目撃し たからだ。自分ばかりが損をしていると 気づい[音楽]た協力者は入れる額を 減らす。すると次の人も減らす。協力は雪 だるま式に崩れ、最後には誰もほとんど 入れなくなった。ここで重要なのは崩壊が 裏切り者の勝利では終わらないことだ。 最終的には全員が損をする。それでもその 崩壊に向かう過程で1番先[音楽]に割を 食うのはいつも1番誠実に協力していた 人間なのだ。ちなみにフェアとゲター [音楽]はこの実験にただのりを伐すると いう選択肢を足すと崩れた協力が回復する ことも確かめている。報復の仕組みがあれ ば協力は守られる。逆に言えばの効かない 場所では協力は守られない。そして今日の 話の主役は[音楽]まさにその罰が効か ない職場の方だ。ここ[音楽]までは実験 室の話ではこの協力者が先に損をする構造 が[音楽]現実の会社でどう作動するのか 。満員電車を想像してほしい。あなたの隣 で若い男が老人の足を踏んでいる。スマホ に気を取られて気づいていない。足踏んで ますよと声をかけるのは一見ただの親切だ 。だが声をかけた瞬間車内の空気は少し 気まずくなる。降りる駅まで視線を浴びる かもしれない。何かを正す[音楽]という 行為には正す側にコストがかかる。職場の まとも[音楽]な人とはこのコストを毎日 払い続けている人のことだ。誰かのミスを 黙ってカバーする。 荒れ[音楽]た会議の空気を整える。新人 の質問に手を止めて答える。どれも共同の 財布にお金を入れる行為だ。そして公共剤 ゲームの数式通り入れた本人に戻ってくる 分は[音楽]入れた額より少ない。組織は この人をいい人[音楽]と呼ぶ。だが構造 的に見ればこの人は毎日自腹を切っている
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Speaker A
協力者だ。 ここで[音楽]もう1つ別の学問の地図を 広げたい。協力者がなぜやめるのかを説明 するにはゲーム理論だけでは足りない。 経済学の出番だ。1970[音楽]年、 経済学者ジョージアカロフがたった13 ページの論文を発表した。タイトルは デモン市場。デモンとは英語のスラングで 外見はまともだが中身が不良[音楽]の 中古者を指す。この論文は後にアカロフに ノーベル経済学をもたらすことになる。 アカロフが解いた問題はこうだ。中古車 市場には[音楽]良い車とデモン不良者が 混ざっている。売手は自分の車の質を [音楽]知っているが買手には見分がつか ない。これを情報の非性と呼ぶ。 相手は質を見分けられないから平均 [音楽]的な値段しか払おうとしない。 良い車にもレモンにも同じ平均価格しか 提示しない。すると何が起きるか。 良い車を持っている売り手にとって平均 価格は安すぎる。割に合わない。だから [音楽]良い車の持ち主は市場から降りて いく。市場[音楽]に残るのはデモン ばかりになる。海手はそれを差してさらに [音楽]値段を下げる。するとややマな車 の持ち主も降りる。質の良いものから順番 に市場を去り、最後には市場そのものが 壊れる。これがレモン[音楽]市場の理論 だ。質を見分けられないというただ一点が 良いものから順に退場させ、市場を内側 から腐らせる。 さて、ここで会社の話に戻ろう。 会社という組織は巨大なレモン市場 [音楽]である。なぜか?多くの日本企業 では社員1人1人の本当の貢献度が正確に は見えていない。[音楽]誰が共同の財布 に毎日お金を入れているのか、誰が黙って 降りているのか。人事評価はそれを完璧に は捉えられない。とりわけ荒れた空気を
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Speaker A
整え[音楽]た。新人を助けた。面倒な 調整を引き受けた。こういう[音楽]協力 行動は数字に残らない。評価シートの欄が ない。つまり[音楽]会社の中ではまとも な協力者とうまく立ち回るただのリ社員が 見分[音楽]のつかないまま同じ平均価格 で扱われている。同じような消求、 [音楽]同じようなボーナス。同じような 肩書き。ここでアカロフの数式が静かに 作動を始める。平均価格は本物の協力者 [音楽]にとっては安すぎる。割に合わ ない。一方、ただのリ社員にとっては [音楽]割が良すぎる。実際の貢献より 高く買われている。この根付けのずれに 最初に気づくのは誰か?1番まともな人だ 。彼らは自分が何を会社に入れているかを 正解に知っている。そして自分が平均価格 でしか評価されていないことにも気づく。 中古車市場で良い[音楽]車の持ち主が先 に降りたように会社でも質の高い協力者 から順に市場を降りていく。そして残るの は レモン市場の結論をもう一度思い出して 欲しい。残るのはレモンばかりだ。 ここまでで1つ当然の疑問が湧くはずだ。 割に合わないと気づいた協力者が[音楽] 不満を抱える。ここまではいい。だが不満 を理解くことと実際に会社をやめることの 間には本来は大きな隔だたりがあるはずだ 。不満を持つ人は[音楽]どんな職場にも 山ほどいる。それでも多くはやめずに残る 。ではなぜまともな協力者に限って不満が そのまま退職という行動にまで一直線に つがっ[音楽]てしまうのか。答えは不満 の大きさではない。辞められる[音楽]か どうかだ。組織論の世界には反世紀以上前 から[音楽]離職の研究という分厚い蓄積 がある。その中で最近になってはっきり 確かめ[音楽]られたことがある。それは 業績の高い社員ほど自発的に会社を辞める
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Speaker A
確率が高いという不都合な事実[音楽]だ 。2009年に発表されたある大規模研究 [音楽]がある。保険会社の従業員 1万2545 人を3年間にわたって追跡したもの [音楽]だ。研究者が検証したかったのは 愛する2つの仮説だった。 仮説A優秀な社員は会社に高く評価され 壊れているのだから満足して残るはずだ。 仮説B。優秀[音楽]な社員は外の会社 からも欲しがられる。だから外に選択 [音楽]肢が多くじめやすいはずだ。 データが指示したのはBだった。業績が 高い人ほど外部の労働市場で[音楽]低た で結果として辞めていく。しかもこの [音楽]研究は興味深い条件も見つけて いる。会社の小級のスピードと外の出業率 次第で優秀な人が残るかやめるかが変わる というものだ。外に[音楽]良い選択肢が あり、中の小級が遅ければ優秀な人は迷わ ず外へ出ていく。これは一社の話ではない 。 2012年に発表さ[音楽]れた別の研究 は複数の企業データを分析して高報告して いる。極端に業績の高い人材は報酬の出し 方が外部企業より見劣りする会社からは 離れやすく、[音楽]しかもやめた後自分 で起業する確率まで高い。逆に業績の低い 社員は[音楽]そういう会社からは離れ にくい。ここから見えてくるのは1 [音楽]つの冷たい定義だ。市場価値が 高いとは能力が[音楽]高いという意味で はない。この職場から脱出するオプション を持っているという意味だ。優秀[音楽] さとはドアの鍵のことだ。まともな協力者 は有能だから外から声がかかる。外から声 がかかるからいつでも出ていける。いつで も出ていけるから割に合わ[音楽]ないと 気づいた瞬間実際に出ていく。一方、共同 の財布にあまりお金を入れてこなかった人
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Speaker A
。うまく立ち回り面倒を避け、かもなく [音楽]不もなくやってきた人は外の市場 でも平均価格か[音楽]それ以下でしか 評価されない。だから外に選択肢が [音楽]乏しい。脱出オプションを持って いない。不満があってもやめられないだ から残る。ここで公共剤[音楽]ゲームと レモン市場が1本の線でつがる。協力者は 毎日コストを払っている。会社はその コストを見分け[音楽]られず平均価格で しか報いない。そして協力者は有能ゆえに 脱出[音楽]オプションを持っている。 コストを払っている人間が脱出する鍵も 持っている。だから[音楽] まともな人からやめていく。これは誰かの 裏切りでもわがままでもない。3つの定理 が重なった時に必ず出てくる構造上の均衡 なのだ。 この構造自体は昔から存在していた。だが 2020年代の日本ではその脱出がかつて ないほど目に見える形を取り始めている。 2つの数字を上げたい。1つ目、アメリカ [音楽]の調査会社ギャラップが毎年公表 している世界の従業員エンゲージメント [音楽]調査だ。エンゲージメントとは ざっくり言えば仕事に前向きに関与して いる度合[音楽]のこと。 24年の報告では世界で仕事に前向きに 関与している従業員はわずか21% 6割以上が関与していない状態だった。 この関与していない状態がいわゆる静かな 退職。会社にいるが最低限のことしかし ない。心理的にはもう降りている状態だ。 ギャラップ[音楽]は同時にこんな分析も している。仕事に前向きな従業員は転職 するのに平均31%の[音楽]消給を必要 とするのに対し関与していない従業員は 22%の供給で[音楽]職場を変える。 前向きな人ほど職場が引き止めの掘として 機能している。逆に言えば心理的に降りた
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Speaker A
人間はわずかな条件で動く。あるいは動く 先の選択肢がないまま降りた状態でいっ つ目は日本に固有の現象だ。退職[音楽] 代行サービス。本人に変わって業者が会社 に退職を伝えるサービスだ。前ナビの調査 によると[音楽]上半期に退職代行を使っ た退職者がいた企業の割合は2021年の 16.3%から2022年19.5% [音楽] 、2023年19.9% そして[音楽] 2024年上半期には23.2%に達した 。およそ4社に1社だ。業子[音楽]別で は金融、保険、コンサルティングが 31.4% 、IT通信が29.8%[音楽]で上位を 占めた。ここで注目したいのは利用率が 高い[音楽]のが雇用の流動性が高く企業 の採用ニーズも高い業種だという点だ。 つまり外に[音楽]選択肢がたくさんある 業界ほど退職代行が使われている。これを 言い直すとこうなる。脱出オプションを 持っている人材が多い[音楽]業界ほど人 がやめる時の摩擦すらお金を払って外注 するようになった。ドアはもう隠れてい ない。ドアは商品[音楽]になった。ここ で出史の補助線を1本だけ引いておきたい 。かつての日本の就寝雇用とは[音楽] 味方を変えれば全員の脱出オプションを 意図的に小さくする仕組みだった。年光 除列で給料は[音楽]後払いにされ、 やめれば退職金で損をする。転職市場も 育っていない。ドアは構造的に重くされて いた。重いドアの内側ではデモン市場は 表面化しない。良い人材も降りるコストが 高すぎて降りられなかったからだ。その ドアがこの30年で軽くなった。転職が 一般化し、人材は流動化し、[音楽] そして今ドアを開ける動作そのものを外注 できるサービスまで現れた。ドアを軽く
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Speaker A
すること自体は個人の自由に[音楽]とっ て良いことだ。だが同時にそれはレモン 市場の作動を隠さなくしてしまったという ことでもある。 1番まともな人が1番先に出ていく構造は ドアが軽くなった分これまでより早く はっきりと回り始めている。最初の問に 戻ろう。なぜ職場で1番まともな人から やめ[音楽]ていくのか。公共材ゲームは 教えてくれた。協力者[音楽]とは毎日 自腹でコストを払っている人間だという ことを。アカルフのレモン市場は教えて くれた。質を見分けられない組織では良い ものから順に市場を去るということ。 1万2545 人を追った[音楽]離職研究とその後の 複数企業の分析は教えてくれた。業績の 高い人ほど[音楽]外に選択肢を持ち、 実際にやめていくということ。そして ギャラップの世界調査と日本の退職代行の 統計[音楽]はそのドアが今かつてなく 軽くかつてなく目に見える形になっている [音楽]ことを示している。これらを1本 につぐとこうなる。優秀な[音楽]人が やめるのではない。コストを払いかつ脱出 の鍵を持っている人から順番にやめていく 。それは個人の裏切りではなく、誰も悪意 を持ってい[音楽]なくても成立して しまう構造の均衡だ。だがここで終わらせ ない。綺麗な結論を1つひっくり返し [音楽]ておきたい。この話を聞いてでは 会社はやめないよう[音楽]に給料で縛れ ばいいと思った人がいるかもしれない。だ がそれは就寝雇用という重い[音楽]ドア の再建に過ぎない。重いドアは確かに人を 引き止める。しかし重いドアはデモン市場 を消すのではなく、ただ見えなくするだけ だ。降りられない協力者が降りられない まま静かに関与しない人へと変わっていく 。それはギャラップの静かな退職そのもの
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Speaker A
だ。自称は出ないが、その人はもう共同の 財布にお金を入れていない。つまりまとも な人を引き止める方法は本当は[音楽]2 つしかない。ドアを重くして閉じ込めるか 、それとも[音楽]その人がコストを払っ ていることを組織がちゃんと見分けられる ようになるか。全車[音楽]はデモンを 内側に溜め込む。校舎だけがレモン市場 そのものを解除する。アカロフの論文には 実は救いも書かれている。デモン市場を 壊さずに済ませる方法として、彼は保証や [音楽]ブランドをあげた。海手が質を 見分けられるようにする仕組みのことだ。 会社に置き換えればそれは[音楽]誰が 本当に共同の財布にお金を入れているかを 評価シートのある欄に[音楽]ちゃんと かけるようにすることだ。あなたの職場で 最近静かにやめていったあの人をもう1度 思い出して欲しい。あの[音楽]人は わがままだったのだろうか。それとも あなたの組織があの人の払っていたコスト を最後まで見分けられなかった。ただそれ だけのことだったのだろうか。そして [音楽]もう1つ、今自分の職場で別に やめないけどなと感じ[音楽]たあなた。 それはあなたの職場が良い職場だからかも しれない。あるいはあなたがまだ[音楽] その鍵を持っていないだけなのかもしれ ない。その教会戦はあなたが思っ[音楽] ているよりずっと曖昧だ。1本の補助線を 引いて[音楽]みました。よろしければ チャンネル登録と高評価を[音楽]お願い します。それでは次の動画でまたお会いし ましょう。 M.
Topics:ゲーム理論組織論公共財ゲームレモン市場離職率社員評価ただ乗り退職代行経済学日本企業

Frequently Asked Questions

なぜ一番まともな人が先に会社を辞めるのですか?

最も誠実で協力的な社員は、会社からの評価が実際の貢献に見合っておらず、割に合わないと感じるためです。また、彼らは外部からの需要も高く、辞める選択肢を持っているため先に辞めやすいのです。

公共財ゲームとは何ですか?

公共財ゲームは、複数人が共同の資源にいくら貢献するかを決めるゲームで、協力者がただ乗りされると全体の協力が崩壊する構造を示します。職場の協力関係の崩壊を説明するモデルとして使われます。

レモン市場理論は会社にどう関係していますか?

レモン市場理論は、良いものと悪いものが混在する市場で良いものが市場から退出し、悪いものが残る現象を説明します。会社では優秀な社員が正しく評価されず辞めてしまい、結果的に質の低い社員が残る構造に似ています。

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